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49歳もマウンドさばき健在!“夢の球宴”で上原浩治が見せた両軍好投の活躍にファン歓喜【サントリードリームマッチ2024】

8月5日に東京ドームで行われた、プロ野球OBによる“夢の球宴”「サントリードリームマッチ2024」。1995年から開催され、今年で28回目を迎えた。毎年レジェンドたちによる”因縁の対決”や、珍プレー・好プレーなどが次々に起こることでファンを楽しませている。今回も数々の名場面が生まれたが、その登場でかつてのホームである東京ドームを一気に盛り上げたのが、元巨人の上原浩治。昨年MVPにも選ばれた男が、今年も躍動感あふれるピッチングで、約4万人の観衆を大いに沸かせた。※トップ画像/筆者撮影

圖標1482131451808佐藤校長 | 2024/09/18
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始球式を務めた俳優・大泉洋と記念撮影をするザ・プレミアム・モルツ球団(筆者撮影)

試合を通じて「みんなの元気な姿を見て欲しい」

今年も山本浩二監督率いるザ・プレミアム・モルツ球団と、田尾安志監督のドリーム・ヒーローズの対決となったサントリードリームマッチ。前者にとって、この日は節目の10連覇がかかった一戦でもある。そのメンバーでもある上原は、今回で4度目の出場。昨年同様、MVP級の活躍に期待がかかる。

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試合前にインタビューに応じる上原(撮影/白鳥純一)

試合開始約1時間半前、グラウンドで両チームの選手たちが練習を行うなか、インタビューエリアに姿を見せた上原は、開口一番「疲れました(笑)」と苦笑い。登板に向けては「全然もう、練習なんか一切してないですから。みんな、ぶっつけ本番なので、怪我しないように。それだけです」とコメントした。

この日を迎える前まで、7月15日の巨人と阪神のOB戦では先発して1イニングを3者凡退に抑え、同22日の『日韓ドリームプレーヤーズゲーム』でも先発登板を務めた。短いイニングとはいえ、あまり登板間隔が空いていない中でのマウンド。肩の仕上がりは順調のようだ。

「ストライクは取れると思うんで。僕たちは。フォアボールを出してね、(試合が)冷めないように。ストライクを取ってみんなに喜んでもらえるように。そういうふうな試合にしたいと思います」

2年連続でのMVP獲得については「いやいやいや……もう疲れてるんで(笑)。余計なボールだけ投げないようにしたい」と謙遜しながら、「歳を取ってもみんな元気でいるっていう姿を見てくれたら、それでいいです」と試合への思いを口にした。

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ベンチで談笑する(左から)田尾監督、山口俊、上原、斎藤雅樹、阿波野秀幸(筆者撮影)

他のメンバーとは「久々なので、ベンチでゆっくり喋れたら」と話していた通り、試合前には斎藤雅樹や山口俊ら巨人OBを中心に談笑する場面も。「大体いま何してるのかとか、体の調子とか」を話すというが、一体どのような思い出話で花を咲かせていたのだろうか。

両軍で好投!毎年恒例の“盟友対決”も

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7回に登板した上原(撮影/井上尚子)

試合は6回終了時点で、3-3と拮抗した展開になっていた。そして続く7回表、ザ・プレミアム・モルツは満を持して上原をマウンドに送り込んだ。

まず打席に入ったのは、2006年第1回WBCでバッテリーを組んだ元ロッテの里崎智也。初球は外角低めのストレートでファウルを奪う。投球の組み立てに関して「フォークはもう入らないから、ストライクに。真っ直ぐ中心で」と話していたが、2球目は同じコースに“伝家の宝刀”フォークを投げ込み、見事なコントロールで里崎をファーストゴロに打ち取った。

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ライトフライに倒れた松田(筆者撮影)

続いて打席に立ったのは、ソフトバンクや巨人で活躍し、昨シーズン限りで現役を引退した松田宣浩。試合前に「若い奴らはちょっと動けるから駄目。危ない。(松田と対戦したら)チェンジにならなそう」と引退して間もない選手との対戦は自信なさげだった上原。だが、2球目の真ん中高めのストレートでライトフライに打ち取り、テンポよく2アウト目を奪った。

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打席に立つ前に複数のバットを振るパンチ佐藤(筆者撮影)

この回3人目の打者は、代打で登場した元オリックスのパンチ佐藤。毎年恒例の、数本のバットを放り投げるパフォーマンスを披露し、観客を沸かせながら打席に入った。

「パンチさんとかね、打ってもゆっくり走ってくれそうなんで、アウトになってくれそう」と対戦したい打者のひとりに挙げていた上原だが、2球目の内角高めのストレートを詰まりながらもレフト線にヒットを打たれてしまう。そのパンチ佐藤に代わり、巨人やロッテで活躍した庄司智久が代走として起用された。

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投球モーションに入る上原(手前)と盗塁を仕掛ける(奥)庄司(筆者撮影)

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盗塁を試みるも二塁手前で失速し、タッチアウトとなった(右)庄司(筆者撮影)

現役時代は持ち前の俊足と、その足を生かした広い守備範囲で活躍した庄司。実況が「71歳です。走ってください!」とあおりながら紹介すると、球場からはどよめきと笑いが起こった。

進塁の素振りを見せる庄司に対し、目で牽制をしつつ投球のタイミングを計る上原。投球モーションに入った瞬間、庄司はすかさず盗塁を試みる。しかし、二塁手前で失速し、スライディングするも二塁ベースに届かず、タッチアウト。上原はパンチ佐藤にヒットを許したが、無失点に抑える好投を見せた。

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マウンド上でストレート宣言する上原(筆者撮影)

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上原との対決で打席に立つ高橋由伸(筆者撮影)

1点をリードした後の8回裏には、毎年恒例となっている試合中の緊急トレードで、ドリーム・ヒーローズのユニホームに袖を通した背番号19。打席に入った現役時代からの“盟友”高橋由伸に対し、マウンド上から握りを見せて「全球ストレート勝負」を予告した。

その初球、宣言通り真ん中高めにストレートを放ると、高橋由を浅いライトフライに打ち取った上原。この回はワンポイント起用での登板となり、ホッとした表情を浮かべながらベンチに戻っていった。

楽しく笑顔で終えた“夢の球宴”

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両軍で好投を見せた上原(撮影/白鳥純一)

試合はザ・プレミアム・モルツが4-3で勝利し、10連勝を達成。その中で上原は、2年連続でのMVP獲得とはならなかったが、昨年同様、両軍で見事なピッチングを披露し、球場を大いに沸かせた。

「本当に楽しむっていうことを第一に考えて(試合をしたい)」。その言葉通り、マウンド上では真剣に、試合中は最後まで笑顔で、現役時代に仲間やライバルとして球界を盛り上げた名選手たちとの野球を、心から楽しんでいる様子が伝わってきた。それは、ファンがいちばんわかっているだろう。

やはりいまも、そしてこれからも、“夢の球宴”にこの男は欠かせない。

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