【パ・リーグ最多セーブ】楽天イーグルス・則本昂大ーープロ12年目守護神への転向、そして背負うものとは

プロ野球パ・リーグ、東北楽天ゴールデンイーグルス投手”則本昂大”。2013年以来楽天イーグルスで投手として活躍する則本投手が、今季最多セーブのタイトルを獲得した。※出典/Getty Images 自チームがリードしている場面で最後に登板して試合を締めくくる投手、いわゆるクローザーとして54登板とリーグ最多出場し、32セーブを記録した。

キングギア編集部エンタメ班 | 2025/01/15

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チームの勝ち点を守ることを第一に

「背番号14、則本昂大」その名が球場の大型ビジョンに映し出されると観客席から大きな声援が湧いた。

則本投手は、2012年のドラフトで2位指名を受け、楽天イーグルスの投手として憧れのプロ野球の世界に入った。新人王やゴールデンルーキー賞、WBCに出場など輝かしい功績を残したが、昨年は右足三角骨障害に対する三角骨摘出術の怪我で欠場するなど悔し涙を飲んだ日もあった。

元々は先発登板が多かった則本。しかし昨シーズンはこれまで楽天イーグルスで守護神としてクローザーを勤めていた松井裕樹選手が2023年サンディエゴ・パドレスに海外移籍したため、先発から抑えに転向。則本は投手の“チームキャプテン”と“守護神”の2つの重責を担うこととなった。

わかっていても打てないストレートと多彩な球種

2024年7月28日の千葉ロッテマリーンズとの1戦では、9回の表7-7の同点で抑えとして登板した則本。カーブやストレートなど一球一球息が止まるような気迫の投球に三者連続三振でイニングの投球を完了した。この試合で「則本（選手）にしかできないこの9回のマウンド、多彩な投球術！」と解説者に言わしめたピッチングはまさに打者を翻弄した。ストレートに狙いを定めたバッターが、大きく逸れる変化球を捉え切れず大きく空振りし悶絶する姿を幾度も目にしたものだ。

彼の武器は、アウトローぎりぎりを攻める150km/hを超えるストレートと、多彩な変化球の多さではないだろうか。あまりの速球とゾーンギリギリのラインのためキャッチャーミットにボールが収まった後、相手バッターも審判の「ストライク！」の声で初めてストライクを取られたことを認識するほどではないだろうか。

球団側のデータでは、回転数が最高で2500rpmを超えているといわれている則本のストレート。伸びる球にバットが当たらないのも無理のない話かもしれない。たとえ球筋がわかっていても芯を捉え切れず高く打ち上げてしまい、打球は吸い込まれるように野手のグローブに収まるのだ。

彼の抑えの投球スタイルは、ストレートばかりではなく変化球にも富んでいるのも特徴。カーブやフォークなどを駆使し、チームの勝利をゆるぎないものにする。安定したピッチングはベテランならではと言えるであろう。

さらに則本はただ投げてリードを守り抜くだけの投手ではない。2024年5月26日の日本ハムファイターズとの試合では、3-2と楽天イーグルスがリードを守る中9回表2アウトの場面で、打たれたボールをファーストが取り溢した際に、すかさずベースカバーに回り自ら一塁を踏みアウトを取った。見事なセーブを見せたのだった。

『投手は9人目の野手』の言葉通り、投げた後も慢心せずきっちり守る。ベテランならではの守備には安心感さえ“ある”と言えるだろう。その基本ともいえる姿勢を順守するプレーに則本の誠実さが垣間見えた。