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【中村憲剛×林陵平対談】現日本代表で「サッカーIQ」が高い選手とは

元日本代表で引退後はクラブのリレーションズ オーガナイザーを務める中村憲剛氏と元プロサッカー選手で解説者の林陵平氏が語りつくした。DAZN「AFCアジア最終予選特番!中村憲剛 x 林陵平 : サッカーIQ」より、2024年の「AFCアジア最終予選」直前の展望を語った様子が配信されている。頭脳派の2人が「サッカーIQ」とは何かに迫った。※トップ画像出典/Getty Images

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日本代表を見続けてきた2人が期待を込める

2024年9月5日から始まった、ワールドカップ出場権を賭けたW杯アジア予選。その開始前に見どころを2人が伝えていた。

中村氏は、1980年東京都生まれ。中央大学を経て、2003年に川崎フロンターレでプロデビュー。MF(ミッドフィールダー)として活躍し、2006年には日本代表に選出された。2016年、36歳でJリーグ年間最優秀選手賞を獲得し、2017年にはクラブ初のJ1優勝に貢献するなど、川崎フロンターレ一筋でプレー。引退後は、クラブのリレーションズ オーガナイザーを務めている。

林氏は、1986年9月生まれ。2009年にプロデビューし、東京ヴェルディ、柏レイソル、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬などのクラブでプレーした。2020年に現役引退後、東京大学運動会ア式蹴球部の監督を務め、2023年10月に退任。現在はサッカー指導者およびサッカー解説者として活動している。

アジア地域の出場枠は4.5から8.5に増加されたが…

厳しい戦いが予想されたアジア最終予選。2026年アメリカ、カナダ、メキシコで開催されるワールドカップは、出場国が48チームに増加。それにともない、アジア地域の出場枠が4.5から8.5に増加された。今回のアジア最終予選では、6チームが3グループに分かれ上位2チームが出場権を獲得。3、4位になったとしても2025年の4次予選に回るというレギュレーションだ。

日本はグループCで、強豪オーストラリア、サウジアラビアやバーレーン、中国、インドネシアと対戦することになる。「シンプルに4.5から4枠増えたら、これまでの状況から(日本は)余裕だろうと思う方も多いと思うんですけど」と切り出した中村氏。しかし、「サウジとオーストラリアがまた(同組に)いるんですよ」と警戒心をあらわにした。林氏も「あなどれないライバル」と両国を評価していた。

とくにオーストラリアについて「僕がいたときからイヤだった」という中村氏は、「長いボールをバンバン入れるような形。分かっていてもイヤだった」と苦手意識があったことを明かす。林氏は「戦いやすさとしては、つなぐサッカーになった今のオーストラリアのほうがやりやすい」と話した。

「歴代最強じゃないですか?」「そうなりますよね」

代表にとっての「鬼門」は初戦。過去2大会は敗戦スタートで、前回大会は森保一監督の解任騒動にまで発展したほど。今回の相手は中国。中村氏は「不気味」林氏も「難しい試合になる」と予想。しかし、日本代表も「過去最高」との呼び声も高い。

「歴代最強じゃないですか?」と語る林氏に中村氏も「そうなりますよね」と呼応した。選手のクオリティーが段違いに高い点と、所属クラブだけ見ても、欧州で活躍する選手が勢ぞろいしていると、その強みを分析する。

森保ジャパンの戦績データも、それを後押ししている。カタールW杯以降は、19試合15勝1分け3敗。得点データは1試合平均3.36ゴール。「3点ですよ。とんでもないですね」と話す林氏。「カタールW杯終わった後の強豪国と戦って全部勝ったじゃないですか。その時にすごい強さを感じました。やっぱり経験によって自分たちがやれるんだっていう自信を持ったところがまず良かった」と、前回W杯の経験で、世界に対する選手のとらえ方が変わってきていることを指摘した。

アジアでのカップ戦の戦い方の難しさが出た準々決勝敗退

カタールW杯で強豪国を撃破し、勢いに乗って迎えた2024年1月の「アジアカップ」。3大会ぶりの王座奪還に大きな期待が寄せられたが、結果は準々決勝敗退。

林氏は「ずっと勝ち続けたことによって、アジアカップでは日本をどうやって食ってやろうかという部分で対策をしてきたチームに対して、なかなか上回ることができなかった。対策してきた相手に手伝うような感じになった」と分析。打開策としては「ちょっと角度を変えてゲームコントロールするような振る舞いを見せれば、もっと余裕を持ってプレーできる」と指摘した。

中村氏も「世界の中の立ち位置とアジアの中の立ち位置は、どうしても違ってしまうので、アジアの戦いは、相手に持たせるっていう感覚ですよね。これを選手が許容するかどうかも多分あると思う」とアジアでのカップ戦の戦い方の難しさを強調した。

「サッカーIQ」とは何か?で両者の意見が一致

2人は「サッカーIQとは何か?」というテーマについて議論。中村氏は「自己解決力」だと話す。

「指導者だったり、チームメイトに委ねるのではなくて、自分がその日のシステムだったり、対面の選手だったり、試合の流れ状況だったりを、ピッチの上でどうやったら状況を好転させられるかを考え、発信し、プレーや言葉で伝えることができる選手はIQが高い」と語る。

林氏は「最適解」が重要だと強調する。状況に応じて最適なポジションを取り、最適な判断を下せるかという意味だという。「ここにいたら相手はイヤだな、常にどこにいたら相手がイヤだなと思いながらボールを受ける。それを最適解で見つけられる選手はIQが高い」と説明した。両者とも考え方は同じだったようだ。

代表で「最適解」を持つ選手として林氏は、中村氏と川崎フロンターレ時代にプレー経験もある、現在はポルトガル「スポルティング」に所属する守田英正を挙げた。中村氏は「考えるクセと話を聞く素直な気持ち、実践する素直さを持ち合わせていた。磨かれていって、もう最後は言わなくても最適解みたいなことはやってくれてはいたのかな」と評価した。

アジア予選について中村氏は、「簡単ではないと思います。それでも全勝する日本代表を見てみたいですね」。林氏も「それが出来るメンバー揃っていますし、ワールドカップ出場権決めてもらってベスト8超えを」と期待を寄せた。

 


DAZN『AFCアジア最終予選特番!中村憲剛 x 林陵平 : サッカーIQ』より

配信日:2024年8月30日~
內容:中村憲剛氏と林陵平氏が「AFCアジア最終予選」直前の展望を語る。

※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています