「藤本は三笘くらいワクワクさせてくれる」元日本代表・槙野がJ1第33節の町田vs川崎を分析

槙野が明言する町田の勝利ポイントは 2人の選手と“ロングボール”

第33節、町田対川崎。町田は前節でサンフレッチェ広島に敗れ、優勝争いから離脱しないためにも負けられない戦いを迎えた。対する川崎は前節でアルビレックス新潟を相手に5得点を挙げて圧勝。リーグ最小失点を誇る町田を相手に、どのような攻撃を見せるかがポイントだ。槙野は試合開始直後、町田の勝利のポイントとして杉岡大暉、藤本一輝の2人を挙げる。「杉岡がオープンに持ったときの藤本を使うところで、藤本が一枚で打開できる。そこの魅力が発揮されるか」と解説。

槙野が町田のプレーで高く評価するもののひとつが、シンプルなロングボールだ。順調に勝利を重ねていたシーズン前半は、これを起点に得点を量産していた。失速してきた終盤戦で、このプレーを甦らせられるかが勝利へのポイントになる。

注目選手2人が躍動する瞬間が訪れた。前半13分町田の攻撃、杉岡からのロングボールに藤本が反応。中島裕希に渡すと、痛烈なシュートが打ち込まれ、先制。見事なプレーに槙野は「完璧」と唸った。「杉岡がオープンにボールを持って、相手のラインの後ろに落とす。藤本のスピードを活かすけど、しっかりと前向きなサポートをしてシュートまで持っていく。最速最短でシュートまで繋げる黒田監督が目指すサッカーを体現したなと思いますね」。得点を挙げたのがベテランの中島であること、得点後の試合に出ていないベンチメンバーの喜びからも、チームの雰囲気の良さが見て取れた。

まだまだ町田は仕掛ける。藤本がドリブルでどんどんと前線にアタック。このプレーを見た槙野は「このサイズ感で足元の技術ですよ。抜群に上手いですよね」と頷く。藤本の身長は180センチ。高身長ながら、小気味良い動きで相手ディフェンス陣を翻弄した。その後も積極的な攻撃を見せ、何度も川崎守備陣を脅かす藤本。その姿に槙野は「藤本って三笘くらいボックス内でワクワクさせてくれる選手ですよね。絶対に仕掛けるし、絶対にプレーをはっきりと終わらせる選手なので」と、日本を代表するトッププレイヤー・三笘薫を引き合いに出し高く評価した。

攻め込まれる川崎だが、槙野は立て直しが図られていると推察した。その理由は、試合が止まったときに、川崎の選手たちが互いに声を掛け合う姿が見られることだ。「今、自分たちが上手くいってないことを分かっているんですよね。だから各ポジションの選手たちが話してなんとか（現状を）良くしよう。打破しよう。としているんです、これは素敵です」。ディフェンダーだけでなく、中盤の選手も加わっての積極的なコミュニケーション。それをキャプテンの脇坂泰斗がまとめ、全体に伝える。なんとしてでも勝利を掴みに行こうとする姿が見える一幕だった。

反撃に出る川崎 試合のポイントとなったインナーラップ

川崎は前半28分、マルシーニョから三浦颯太に繋ぎ、同点ゴールを決めた。槙野は「いやあ、インナーラップか！」と絶叫。ボールを持つマルシーニョの内から三浦が積極的にゴール前へ突入した。「三浦がスペースを消してしまうのかと思ったんですけどね…。パスを出すタイミング、ボールスピード、どちらも完璧でした」と解説した。その後もマルシーニョが果敢にサイドを使い、三浦がインナーラップを積極的に仕掛ける攻撃を繰り返す。町田はそれに疲弊したか、前半43分、GKがミスを起こし、川崎の山田新にループシュートを決められ逆転。川崎が1点リードで後半戦に突入した。

その後も攻め込まれる町田。槙野は町田の守備のスタイルに「町田は4バックで守っているんですけど、守備のやり方は『裏のスペースを埋める』『ディフェンダーが下がる』というスタイルなので必ず裏が空いてしまうんです」と言及した。この守備には、斜めのパスが効果的に使用されてしまう。その後も川崎は斜めのパスを利用して攻撃を繰り返した。「ライン間で受ける選手に対して（マークを）人に付けるんじゃなくて、ポジションを下げているんですよね。スペースを埋めることも大事なんですけど、選手に対して付かないといけないんです」と、槙野は町田の守備の欠点を指摘する。その後も川崎の攻撃は続き、PKと三浦のインナーラップを活用したマルシーニョのゴールで、リードを3点に広げた。

DAZN「やべっちスタジアム #178 : 槙野が町田vs川崎Fをオフザボール解説＆鄭大世の代表プレビュー！」より

內容：2024年シーズンのJリーグ第33節、FC町田ゼルビアと川崎フロンターレの試合を元日本代表の槙野智章がディフェンダー目線から解説する。

※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています