衝撃の新世代：フォンセンカ＆ティエンがテニス界に刻む新たな歴史

テニス界にまた新たな才能が現れた。昨年12月の「Next Gen ATPファイナルズ」では無敗のまま優勝し若手選手の中で頭ひとつ抜けた存在となった選手や、元世界ランキング1位のラファエル・ナダル以来の若さで四大大会初のベスト16入りを果たした選手など。ベテラン選手が復活を遂げる中、新世代の選手たちも負けじと勢いを見せている。

ブラジルの新鋭フォンセカ：衝撃の全豪デビューと圧倒的な破壊力

ブラジル出身のジョアン・フォンセカ（18歳）は、昨年12月の「Next Gen ATPファイナルズ」に出場し、全勝優勝を達成。若手の登竜門ともいえるこの大会で無敗で頂点に立ち、世界にその名を轟かせた。今季の開幕戦となったATPチャレンジャー「ワークデイ キャンベラ国際」（オーストラリア）でも、見事タイトルを獲得。その勢いのまま、全豪オープンでは予選を突破し、本戦へと駒を進める。

当時世界ランキング112位だったフォンセカは、1回戦で世界ランキング10位のアンドレイ・ルブレフと対戦。格上相手に堂々としたプレーを見せ、見事な番狂わせを演じて勝利を収めた。2回戦で敗退したものの、衝撃的な四大大会デビューを果たし、世界中のテニスファンに強烈な印象を与えた。

フォンセカの最大の武器は、強烈なフォアハンドだ。特にサイドに走らされた状況でも、力強いランニングショットを放つことができる。さらに、サイドに振られた後の切り替えも速く、優れたフットワークを持っていることがわかる。体勢が崩れたように見えても、放たれるショットは非常に力強い。これは、彼の高い身体能力の証だろう。また、ラリーの最中に突如として強烈なショットを繰り出すなど、対戦相手にとって予測不能なプレースタイルも特徴的だ。

18歳にして世界トップクラスの選手を倒し、そのポテンシャルを証明したフォンセカ。持ち前のパワーと身体能力に磨きをかければ、さらなる飛躍が期待される。今後のATPツアーでの活躍から目が離せない選手だ。

ラーナー・ティエン：19歳の新星が示す異次元のリターン力

アメリカ出身の19歳、当時世界ランキング121位のラーナー・ティエンが、今年の全豪オープンで予選を勝ち上がり、四大大会で初のベスト16入りを果たした。この快挙は、元世界ランキング1位のラファエル・ナダル以来の若さでの4回戦進出となる。また彼は昨年12月に開催された「Next Gen ATPファイナルズ」にも出場し、準優勝という結果を収めた。今、アメリカで最も期待される若手選手のひとりだ。

全豪オープンでは、世界ランキング5位のダニール・メドベージェフをフルセットの死闘の末に破る大金星を挙げた。さらに、2月のATP500「アビエルト・メキシカーノ・テルセル」では、世界2位のアレクサンダー・ズベレフをストレートで撃破。世界のトップ選手たちを相手に堂々たる戦いぶりを見せている。

ティエンの最大の武器は、リターンゲームの強さだ。一般的にテニスではサーブが最も有利とされているが、彼はリターンを得意とし、対戦相手に常にプレッシャーをかけ続ける。特徴的なのは、そのポジショニングだ。彼はリターン時に大きく後ろに下がり、遠い位置からボールを返す。この戦術により、左右に振られても余裕を持って対応し、ラリー戦に持ち込むことができる。実際、全豪オープンでは左右に振られた際のリターンがカメラの画面外に消えるほど後方に下がっていたのが印象的だった。

正直ティエンは、特別にパワーがあるわけでも、高身長なわけでもない。しかし、彼は“ミスが少ない”。フォアハンドとバックハンドで微妙に球種を変えながら、相手を翻弄するプレースタイルは非常に安定感がある。さらに、異次元のフットワークを持ち、リターンでコートの外に振られても素早く次のボールに追いつける。これにより、彼は相手にとって非常に厄介な選手となっている。

私はティエンを全豪オープンで知ったのだが、そのプレースタイルはワクワクする魅力に満ち溢れていた。今後、彼がどこまでランキングを上げ、どんな戦いを見せてくれるのか。テニスファンならずとも、注目せざるを得ない存在といえるだろう。

テニス界の未来を切り開く二人の才能

二人のプレースタイルは対照的に思える。フォンセカの武器は強烈なフォアハンドで、ラリーの流れを一気に変える突然の攻撃が特徴的だ。予測不能なプレーが相手にプレッシャーを与える。一方、ティエンは異次元のリターン力を誇る。リターンからラリー戦に持ち込むことで試合の流れを支配する。

この二人の若き才能は、単なるブレイクスルーではなく、今後のATPツアーを席巻する可能性を十分に秘めている。彼らがこれからどのように成長し、どんなドラマを生み出していくのか。2025年、テニス界の未来を担う新星たちから目が離せない。