
宗山・西川・伊原…開幕1軍を掴んだルーキーたち、その実力は本物か?
プロ野球が開幕して2週間が経過。2025年は、セ・パ12球団に総勢122名(育成指名含む)の新人選手が入団した。目まぐるしく順位が変動する熾烈なペナントレースが繰り広げられているなか、各球団ではいきなり1軍の舞台でプレーするルーキーたちの活躍が目立っている。東北楽天ゴールデンイーグルス・宗山塁や中日ドラゴンズ・金丸夢斗らが新人王候補に挙げられている。しかし、キャンプを経て開幕戦を迎えてみると意外なルーキーの活躍に注目が集まっている。彼らのここまでの活躍とチームにもたらしている影響について語るとともに、今後の活躍予想と課題についても言及する。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

開幕から無失点を続けるタイガースの職人肌・伊原陵人
3月30日の広島東洋カープ戦で初登板して以来、6試合連続で無失点を貫いているのが、阪神タイガースのドラフト1位左腕・伊原陵人だ。金丸を外した末の1位指名だったが、ここまでは伊原が一歩リードしている。
腕をコンパクトに畳んだ変則的なフォームからキレのあるストレートと多彩な変化球を投げ分ける伊原。ギリギリまで球の出どころが見づらく、多くの打者がタイミングを合わせるのに苦戦している。制球力にも優れており、四死球もほとんどなし。打者の胸元を突く大胆さも合わせ持っている。4月12日の中日ドラゴンズ戦では、中継ぎで2回1安打無失点の好投。昨年70試合に登板したタフネス左腕・桐敷拓馬の負担を減らす即戦力左腕になってくれそうだ。
育成枠から這い上がった工藤泰成は快速球でブレーク
タイガースでは育成1位指名から支配下登録を勝ち取った右腕・工藤泰成にも注目が集まっている。筋肉質なボディーが自慢の工藤は、中継ぎとしてたびたび重要な場面に登板。躍動感あふれるフォームから球団新人最速を更新する159キロのストレートと落差のあるフォークで強打者を打ち取ってきた。時にはバットをへし折るなど、球威も武器となっている。
しかし、登板ごとにコントロールの悪さも露呈。4月9日の東京ヤクルトスワローズ戦では3-0でリードする6回にピンチの場面で登板。甲子園の声援が逆にプレッシャーを感じさせたのか、2四球2暴投と自滅し、プロ初黒星を喫した。その後2軍降格となった工藤。1軍に戻るためにはコントロールとメンタルの強化が必須だろう。
開幕スタメンを掴むも1軍の壁に阻まれた西川史礁
大卒ルーキーながらオープン戦で打率.410をマークし、開幕スタメンを勝ち取った千葉ロッテマリーンズの大型外野手・西川史礁。開幕戦では、ホークス・有原航平がインコースに投げた難しいボールを巧みに捌いて勝ち越しタイムリーを放つなど、鮮烈デビューを果たした。
しかし、その後は当たりが止まり10試合に出場して打率.132まで降下。インコースを突かれた後の変化球に対応ができず、凡打の山を築いてしまった。2軍降格となったが、吉井理人監督は「まだ始まったばかりでいろんなことが経験だと思う。自分でやることはわかっているはずだ」と奮起に期待している。
イーグルス・宗山塁の広角に打ち分ける打撃は本物
昨季のドラフト会議で5球団による1位競合の末、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団した宗山塁。安定した守備力と東京六大学野球リーグ歴代7位の通算118安打を記録した実績通り、開幕スタメンに抜擢された。
2番ショートで出場した開幕戦で初ヒットを放つと、球団新人初の開幕5試合連続安打をマーク。左右に打球を打ち分けており、ミート能力の高さを発揮している。4月12日のバファローズ戦では、チームにとって43イニングぶりとなるタイムリーを放つなど、打率.250ながら得点圏での勝負強さはルーキーとは思えないほど。守備でもスピード感あるハッスルプレーをたびたび見せており、シーズンを通してチームを支える選手になっていくだろう。
積極的な打撃で4割超えの渡部聖弥
埼玉西武ライオンズのドラフト1位野手・渡部聖弥も存在感を見せつけている。ルーキーながら開幕戦で5番を任されると、宗山超えの開幕6試合連続安打をマーク。これは球団新人最長タイだった。甘いボールを果敢にスイングする積極性と鋭いインパクトは新人離れしており、11試合で打率.429という高い数字を叩き出している。惜しくも右足首捻挫のため、出場選手登録を抹消されたが、早々に復帰できれば現状では新人王に最も近い存在かもしれない。
150キロ超えのストレートで打者を抑えるイーグルス・江原雅裕
東北楽天ゴールデンイーグルスにドラフト4位で加入した社会人出身右腕の江原雅裕も好投を続けている。1軍に抜擢されて中継ぎを任せられると、150キロを超える伸びのあるストレートを軸にした強気なピッチングスタイルでここまで防御率0.00と安定した結果を残している。派手さはないが、イーグルス投手陣の屋台骨になっていくはずだ。
ペナントレースもまだ序盤。彼ら以外にも、1軍昇格を果たして活躍をするルーキーが出てくる可能性は高い。ぜひフレッシュな新人たちのプレーに注目してみてほしい。