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孤獨的拳擊世界冠軍“直哉井上”

2017年12月30日、日本史上最強ボクサーとの呼び声が高いWBO世界スーパーフライ級『井上尚弥』選手(大橋ジム)の防衛戦(横浜文化体育館)で衝撃的な事態が生じた。この試合で戦績を15戦15勝(13KO)とした井上選手は、2018年から階級を上げてバンタム級でチャレンジをする意向だ。

圖標aff20898 d2d2 431d 8b05 0f3c5e5ae91bHidemi Sakuma | 2018/01/12
井上尚弥選手のプロデビュー戦は、2012年10月2日、当時のフィリピン王者クリソン・オマヤオとの試合であった。上体を揺らしながら接近して打ち込むオマヤオに対して、井上選手は待ち構え、試合開始早々ダウンを奪う。その後、相手は前に突進し強引にパンチを出し続けるが、井上選手の左フックがボディに入ると相手は悶絶し試合終了。  

あれから5年、井上選手は世界王者として快進撃を続けている。  

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公開スパーリング(2017年12月16日)

開始早々相手に突進し容赦なく打ち合う井上選手。接近戦で相手のパンチをかわしてカウンターで打ち込むのを何度も試しているようであった。その後、サンドバッグ、ミットを行っていた。

終了後の井上選手。

井上:一番は足を使って(相手の攻撃を)かわし、間に合わない場合はブロッキングもしますが、身体にダメージが残り自分のリズムも崩れるので。  

今は防衛戦のことだけを考えて、それが終わって年を迎えてどういう流れになってるか。理想としては来年バンタム級でという考えがあります。  

井上選手はかなり好調な様子で、確実に勝利をして来年に向けていきたいという印象であった。だが、防衛戦の相手ヨアン・ボワイヨ(同級6位)は、戦績が41勝(26KO)4敗で現在31連勝中とかなり手強い。井上選手は、強豪に対してどのように戦ったのであろうか。  

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調印式(2017年12月28日) 

右はWBCライトフライ級世界王者の拳四朗選手。

井上:いつも通り順調にコンディションを作ることができて、あとはもう明日の計量を待つだけです。  

来年、バンタム級で再スタートできるように頑張りたいと思います。  

KOで勝って来年に繋げたいと思います。

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計量 (2017年12月29日) 

右は、対戦相手のヨワン・ボワイヨ。

井上選手は、計量をスーパーフライ級リミットとなる52・1キロで無事にクリアした。  

そして、12月30日、横浜文化体育館で7度目となる防衛戦が行われた。

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ボワイヨは井上選手に的を絞らせないように上体を揺らしながら接近してパンチを繰り出していた。それに対して、井上選手は全く退くことなくパンチを受けるのを楽しむかのように、ギリギリまで見極めてかわしたり、ショルダーブロックで防いでいた。
 

1R中盤、井上選手の左フックを相手が受けると、会場の空気が一変した。ボワイヨは、大事故に遭って心を打ち砕かれた様な顔付きとなったのである。

あまりにも違うレベルが。パンチの打撃音が。
 

同じ人間同士の戦いとは思えなかった。まるでライオンに子鹿が挑んでいるかのように。

無謀過ぎる。危険だ。今すぐ止めろ。

戦わないで今すぐリタイアをした方が身のためとなるのではないか。もうこれ以上見ることはできない。

試合は、井上選手の怒涛のラッシュにより3RTKO勝ちで終了。
 

モンスター。  

大橋ボクシングジム会長の大橋秀行氏が言うように、日本史上最強のボクサーと言われるように、井上選手はスーパーフライ級では誰もが手が届かない境地にまで登り詰めてしまった。  

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試合後、リング上での井上選手。

井上:どうもありがとうございました!

自分自身、全然物足りない所があるが、スーパーフライ級では実現できないのかなという思いもあるので、来年バンタム級に行きたいなと思います。楽しみです。  

気持ちが燃える試合をどんどんやっていきたいなと思います。これからもボクシングファンが盛り上がるような試合をしていきたいと思います。応援を宜しくお願いします。
 
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試合後の記者会見。

井上:まあ、喜べないというか、ここで大はしゃぎしているようでは先はないので。

1つの試合をクリアしたっていうのはありますけど、まだまだ自分自身ヒリヒリ、ピリピリした試合をしたいですね。  

バンタム級の王者はどの団体も強い。今日の試合では何も言えない。チャンスがあればどこへでも行きます。   

スーパーフライ級では8kgの減量に苦しめられ、試合当日には右瞼上が腫れ上がるなど、調子が良いとは言えコンディション調整がいかに大変であったかがうかがえる。

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バンタム級へと階級を上げることにより井上選手が望むヒリヒリした試合となる可能性が高くなるが、父・井上真吾トレーナーは、「
そういう試合をすると俺がヒリヒリしちゃうよ(笑)」と冗談も交えていた。

スーパーフライ級よりも大きな身体から強いパンチを放つ相手と対戦すると、一体どのような試合となるのであろうか。
 

2018年、いよいよ井上選手の真価が問われる。
 

現在、世界中のボクサーを評価するPFPにおいて井上尚弥選手は世界最強の1人としてランク付けされている。  (了)      

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[檔案]


井上直也(Inoue Yoshiya

1993
出生一年。
拳擊WBO世界超輕量級冠軍。

高校時代に高校生史上初のアマチュア7冠を達成。2014年当時日本人男子最速となるデビュー6戦目で世界王者となり、8戦目で2階級制覇を達成。日本ボクシング界歴代最強と呼ばれるモンスター。2017年12月30日に7度目の世界防衛を果たし、2018年はバンタム級での世界制覇を目指している。

公式Twitter:https://twitter.com/naoyainoue_410
公式Instagram: http://instagram.com/naoyainoue_410
官方博客:https://lineblog.me/naoya_inoue/


取材協力/大橋ボクシングジム
http://www.ohashi-gym.com/

取材写真/佐久間秀実