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錦織圭、香港オープン準優勝!圧巻のプレーで2025年シーズンを鮮烈にスタート

ATP250「香港テニスオープン2025」で錦織圭選手が今季の開幕戦を迎え、熱い戦いを繰り広げた。初戦から安定したプレーで勝ち進み、最終的に準優勝を果たした錦織。彼の正確なストロークや巧みなボレー、そして必死に球に喰らいつく姿勢に、画面越しの私も大盛り上がり。今年のお正月に「今年の錦織もすごいぞ!」と何度口にしたことか。錦織の粘り強いプレーに注目し、今大会を振り返る。※メイン画像:出典/Getty Images

Icon img 9605 1  1 髙橋菜々 | 2025/01/16

ATP250「中国銀行香港テニスオープン2025」に出場した錦織圭選手。今大会はワイルドカード(主催者推薦)で参戦。錦織にとってはこれが今季の開幕戦となった。結果は準優勝。大会は2024年12月31日の大晦日から始まり、決勝は2025年1月5日。きっとテニスファンの年末年始をより盛り上げてくれた大会となっただろう。今回は錦織の初戦から準優勝までの軌跡を振り返りたいと思う。

鮮やかなショットと粘りのプレーで、激闘を制す!

初戦は元世界ランク10位のデニス・シャポバロフ(カナダ/56位)と対戦。約1時間でストレート勝ちを収め、錦織の実力を存分に見せつけた。試合中、シャポバロフが放つバックサイドからのサーブに圧倒される場面もあった。錦織がコートから大幅に追い出され、空いたスペースを相手にうまく使われポイントを奪われたのだ。これはテニスにおけるサーブの重要性を改めて感じさせられる瞬間だった。

一方で、錦織のストロークとボレーは安定感があり、無駄な動きがなく次の球の行方を正確に予測していた。特に2セット目、相手が錦織のリターンをボレーで返したところ、錦織はラインギリギリのコースを狙ったショットで相手を抜き去った。その球は、鋭い勢いのあるものではなく、相手の立ち位置を把握した上で正確にコースを狙ったもので、球の軌道が非常に美しかった。


2回戦では、元世界ランク8位のカレン・ハチャノフ(ロシア/19位)と対戦。第1セット目は落としたものの、逆転勝利を収めた。

第1セットの5ゲーム目、錦織は相手を大きく左右に振り回しながらポイントを狙うが、ハチャノフはどんな球にも食らいつき、粘り強くポイントを奪っていった。その後の8ゲーム目、長いラリーの末に、錦織は相手のバックサイド、サイドライン際を狙ったショットを決め、観客を驚かせた。このショットは見事で、錦織の技術が光る瞬間だった。試合全体を通して、観客は一瞬も気を抜けない熱戦が繰り広げられた。試合後、錦織は「この勝利は間違いなく大きな自信を与えてくれるだろうし、ここ1年で最大の勝利」とコメント。おそらく、この試合がその後の試合に向けての自信となったに違いない。

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出典/Getty Images

3回戦では、キャメロン・ノーリー(イギリス/49位)と対戦。錦織の相手の逆をつくショットは見ていて非常に爽快で、特に前に出てきた相手の横を抜くショットは素晴らしかった。

第3セットの6ゲーム目、ノーリーのサーブがインコースに決まるのだが、錦織はギリギリのタッチでラケットに当ててリターンを返した。そのリターンが相手のチャンスボールとなり、ノーリーはすかさず前に出て鋭いショットをセンターへ打ち込む。錦織は瞬時に反応したものの、ボールに触れるのが精一杯な状態だった。高く上がったボールがベースラインを越えてアウトになるだろうと予想し気を抜いていたが、まさかのイン。解説者の「オーマイッガー!」の声が聞こえ、会場の観客も大いに沸き立った。その瞬間、テレビ越しでもその驚きが伝わり、現場で試合を観ている人たちがとても羨ましく感じられた。試合の最後も、錦織は相手の逆をつくショットで勝利し、準決勝へと進出。準決勝では、シャン・ジュンチャン(中国/50位)と対戦するが、相手の途中棄権により、錦織の決勝進出が決まった。


決勝ではアレクサンドル・ミュレール(フランス/67位)と対戦し、結果は6-2、1-6、3-6で錦織が逆転負けを喫し、準優勝となった。試合は激しいラリー戦となり、お互いに攻守せめぎ合う展開に。錦織はその中で驚くべきショットを幾度となく披露した。

特に印象的だったのは、第2セットの2ゲーム目。錦織が打ったボールがネットに当たり、相手コートに返されると、それがミュレールにとってチャンスボールとなり、錦織のコートへと打ち込まれた。しかし、錦織はその球をバックハンドで受け止め、相手の頭上を抜ける見事なショットを放ち、ベースラインギリギリにイン。見事、ポイントを奪った。この時、錦織は相手が打つ瞬間にコースを読み、冷静にスタンバイしていた。彼の判断力と技術が光った瞬間だった。また、ネット際の球を決して諦めずに追いかけ、左右に振られても喰らいつく錦織の姿勢もとても印象的だった。

アレクサンドル・ミュレールの逆境を乗り越えた強さ

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出典/Getty Images

ミュレールはついに初優勝を達成した。今大会では、全試合で逆転勝利を収める劇的な展開を見せ、観客を魅了した。その強さの裏には、並外れた精神力と、過去に乗り越えてきた試練があった。

14歳の時、ミュレールはクローン病(慢性炎症性腸疾患)と診断され、医師からは体調を維持するためにスポーツをやめるべきだと告げられた。しかし、彼は決して諦めず、プロのテニスプレイヤーとしての道を選び、毎日の厳しい練習に励みながら、自身の体調と向き合い続けたのだ。その結果、今や世界の舞台で活躍する選手となった。彼の経験は、困難を乗り越えてきた証であり、多くの人々に希望と勇気を与えていることだろう。

錦織圭、今季開幕戦で見せた圧巻の粘り強さと技術力

錦織圭選手が素晴らしいパフォーマンスを披露し、今季の開幕戦を飾った。初戦から準優勝に至るまで、彼の粘り強さと技術力は圧巻で、テニスファンを熱狂させたことだろう。個人的には、安定したストロークや巧妙なボレー、相手の逆をつくショット、そして相手の立ち位置を見極めて正確にコースを狙ったプレーが印象的であった。

どんな試合でも諦めずに戦い続ける姿こそが、錦織の真の強さであり、2025年もその粘り強さが光るプレーが楽しみである。

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