目的地歐洲足球之旅 - 來自當地“萬達大都會”的全面報導被選為歐洲足球的最佳舞台,可在比賽后面看到! 〜
2019年に行われるUEFAチャンピオンズリーグの決勝の舞台に選ばれたのは、近年その躍進が著しいアトレティコ・マドリードの本拠地。アトレティコを愛するサポーターから見た、このスタジアムへの想いとは。そして、応援歌“イムノ”に隠されたサポーターの想いとは。 ヨーロッパの現地から、KING GEAR編集部が生の声をお届けします。
Takafumi Kunitomi
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2017/10/11
先日行われたUEFAの総会で、2019年のチャンピオンズリーグの決勝は、「Wanda Metropolitano」に決定した。
そう、アトレティコ・マドリードが今シーズンから移転した新スタジアムである。
マドリッドの中心から見て西、そこにはマンサナーレス川(Manzanares)が流れる。
その横にひっそりと役目を終えたスタジアムがある。
そう、昨年のシーズンまでアトレティコがホームとしていたスタジアム、「ビセンテカルデロン(Estadio Vicente Calderón)」である。
スタジアムの下を道路が通るという珍しい設計ではあるもの、かつてUEFAのスタジアム評価で5つ星を獲得したこともある、思い出と伝統の詰まったスタジアムである。
(左がマンサナーレス川。奥に見えるのがEstadio Vicente Calderón)
(ビセンテカルデロンの下を通る道路。道路わきにはアトレティコのエンブレムがある)
同じマドリッドの中には、世界で有数のメガクラブ、レアル・マドリッド(Real Madrid C.F)があるが、こちらはどちらかというと富裕層や海外のファンが多い。
本拠地「サンチャゴベルナベウ(Estadio Santiago Bernabéu)」も街の中心地に近く、どちらかというと一等地というイメージだ。
一方でビセンテカルデロンは、どちらかというと郊外の穏やかな住宅街の中にある。 この地に通って8年以上、アトレティコ一筋で応援してきた青年フリアン(Julian Abad Hidalgo)さんは言う。
「ビセンテカルデロンは僕らにとって“家”なんだ。勝っても負けても、そこは素敵な空気に満ちている。僕もかつてはレアルのファンだったんだよ。今でも父はレアルファンだけどね(笑)
勝つのが当たり前だし、とても豊かなクラブだからね。アトレティコとは違うさ。
でも、レアルの試合は何かが足りなかったんだよ。情熱というか、何かがね。 しかし、カルデロンに来て気づいたんだよ。足りない何かが、アトレティコにはあったんだよ。 カルデロンの周囲はバルがたくさんあり、試合の前からもうお祭りだよ。それくらい、みんなカルデロンが好きなのさ。あ、ちなみに言っておくと、僕と父はとても仲がいいんだよ(笑)」
アトレティコは移転した現在も、以前と同様に、試合前に「イムノ」という応援歌を歌う。
その中には、以下のような意味の歌詞がある。
「マンサナーレスへ行くんだ。フットボールの興奮を愛する何千もの人々が来る、ビセンテ・カルデロンスタジアムへ。彼らは我が兄弟のように戦い、彼らのシンボルのために戦う。崇高なプレーとともに、勇気と情熱に満ちあふれた今日の午後のムードでファンの心を満たす真のチーム」
ゴール裏Frenteと呼ばれるゾーンには熱狂的なサポーターが陣取る。ここからイムノが歌われ、スタジアム全体を歌声が包んでいく。しかし、移転した現在も、歌詞は変わらず、カルデロンの名が歌われている。
(Wanda MetropolitanoのFrenteに陣取るアトレティコサポーター)
「僕も理由は知らないけど、イムノにまだカルデロンの名が歌われているのは、FrenteのみんながまだMetropolitanoを家だとは思ってないからかもしれないね。
とても綺麗で素晴らしいスタジアムだけど、スタジアムの周囲にはカルデロンのように試合前を楽しむ場所もないしね。 カルデロンの周りにはバルがたくさんあって、試合の前の雰囲気はとても素晴らしかったよ。あの場所は特別さ。」 とフリアンさんは言う。
Wanda Metropolitanoは、マドリッドの中心からメトロに乗って約30分程度、東の郊外へ行ったところにある。さすが新設のスタジアムといったところだろうか、周囲は綺麗に整備され、工事の音もまだ聞こえている。
しかし、本当にスタジアム以外なにもない。駅を降りたらいきなりスタジアムが見えてくるが、確かに試合前にみなで結果を予想し盛り上がるようなバルも無い。
(駅を降りたところから見える新スタジアム。周囲は広い空き地になっている)
スタジアムを取り巻くように設置された遊歩道に行くと、何やらサポーターがみんな地面を見て写真を撮っている。何だろうと近寄ると、往年のアトレティコ選手を記したモニュメントがところせましと並んでいる。
(監督シメオネ)
(セレッソ大阪にも在籍したフォルラン)
(今も大人気のFトーレス)
やはり、フェルナンド・トーレスは現地でも大人気なのだろう。このトーレスのモニュメントと一緒に写真を撮る人が一番多かったように見えた。
中に入るとさすが新設のスタジアムと言うべきだろうか、全ての設備が新しく美しい。そして、欧州のスタジアムだからなのだろう、ピッチまでの距離が近く、とても見やすい。
試合前にはイムノが歌われるが、声の反響も良くスタジアム全体がまるでオーケストラの会場のように歌声が響き渡る。
(Metropolitanoの内部。スペインで大人気の闘牛場のように美しい円形のスタジアムである ) 2
017年9月27日、ここMetropolitanoでは初のヨーロッパの戦いが行われていた。
マドリードのロヒ・ブランコ(Rojiblancos、赤と白の意味。アトレティコのユニフォームが赤と白の縦縞のためこのニックネームがついた)が迎えたのは、 昨季イングランドの最も強いチームに返り咲いたthe Bluesことチェルシー(Chelsea FC)だったが、エースのアントワーヌ・グリエーズマンのPKで先手を取ったアトレティコはこの日、自慢の守備が機能することは無かった。
この2017年9月27日で、Metropolitanoで行われた試合は3試合目。 まだ、この地でアトレティコがゴールを許したことも、ましてや敗れたこともなかった。
サポーターからすると、愛すべきカルデロンを良き思いでとし、新しい地を自らの”家”と称するには、この地での溢れんばかりの歓喜と少しだけの美酒が必要なのだろう。
しかし、どんな常勝チームでも、いつか必ず負ける時が来る。 美酒を忘れないためには時々、少しばかりの苦みも必要と言わんばかりに、その時は突然やってくる。
誰しもが言う。
フットボールとは、”そうゆうもの”なのだから。
皮肉なことに、このスタジアムで許した最初の得点、その鍵を開けたのは、ロヒ・ブランコで幼少期を過ごしたスペイン代表アルバロ・モラタだった。
(60分 アトレティコのゴールをこじ開け、喜ぶ9番モラタと詰め寄るチェルシーの選手達)
この日、アトレティコは敗れた。 Metropolitanoでの最初の敗戦という肩書とともに。
Champions League決勝トーナメントの常連となったチームは、このヨーロッパの最も優れたチームを決める大会で、今期はまだ勝ち星がない(2017年9月27日終了時点)。
「アトレティコのサポーターを証明するカードに、何が書いてあるか知ってるかい? “ NUNCA DEJES DE CREER ”と書いてるんだよ。 そうだねぇ、英語に直すと、 “ Never Stop Believing ” (我々は、アトレティコを信じ続ける) かな。 僕らは、どんな状態であっても、アトレティコの“家族”なのさ」
こう思うのは、きっとフリアンさんだけではないのだろう。
いつか、イムノの歌詞が少し変わる時が来るのかもしれない。 その時が、この赤と白を愛する人達が、マンサナーレス川のほとりから、本当の意味でこの東の地へ移ってきた時なのだろう。
それは近い将来なのか、
それとも、遠い未来なのか。
私ほどの人間では、知る由もない。
次に”家”に招き入れるのは、独立に揺れるカタルーニャの巨人、FC Barcelona。
この家族の幸運を祈りつつ、また”引っ越し最中のお家”にお邪魔したいと思う。
そう、アトレティコ・マドリードが今シーズンから移転した新スタジアムである。
マドリッドの中心から見て西、そこにはマンサナーレス川(Manzanares)が流れる。
その横にひっそりと役目を終えたスタジアムがある。
そう、昨年のシーズンまでアトレティコがホームとしていたスタジアム、「ビセンテカルデロン(Estadio Vicente Calderón)」である。
スタジアムの下を道路が通るという珍しい設計ではあるもの、かつてUEFAのスタジアム評価で5つ星を獲得したこともある、思い出と伝統の詰まったスタジアムである。
(左がマンサナーレス川。奥に見えるのがEstadio Vicente Calderón)
(ビセンテカルデロンの下を通る道路。道路わきにはアトレティコのエンブレムがある)
同じマドリッドの中には、世界で有数のメガクラブ、レアル・マドリッド(Real Madrid C.F)があるが、こちらはどちらかというと富裕層や海外のファンが多い。
本拠地「サンチャゴベルナベウ(Estadio Santiago Bernabéu)」も街の中心地に近く、どちらかというと一等地というイメージだ。
一方でビセンテカルデロンは、どちらかというと郊外の穏やかな住宅街の中にある。 この地に通って8年以上、アトレティコ一筋で応援してきた青年フリアン(Julian Abad Hidalgo)さんは言う。
「ビセンテカルデロンは僕らにとって“家”なんだ。勝っても負けても、そこは素敵な空気に満ちている。僕もかつてはレアルのファンだったんだよ。今でも父はレアルファンだけどね(笑)
勝つのが当たり前だし、とても豊かなクラブだからね。アトレティコとは違うさ。
でも、レアルの試合は何かが足りなかったんだよ。情熱というか、何かがね。 しかし、カルデロンに来て気づいたんだよ。足りない何かが、アトレティコにはあったんだよ。 カルデロンの周囲はバルがたくさんあり、試合の前からもうお祭りだよ。それくらい、みんなカルデロンが好きなのさ。あ、ちなみに言っておくと、僕と父はとても仲がいいんだよ(笑)」
アトレティコは移転した現在も、以前と同様に、試合前に「イムノ」という応援歌を歌う。
その中には、以下のような意味の歌詞がある。
「マンサナーレスへ行くんだ。フットボールの興奮を愛する何千もの人々が来る、ビセンテ・カルデロンスタジアムへ。彼らは我が兄弟のように戦い、彼らのシンボルのために戦う。崇高なプレーとともに、勇気と情熱に満ちあふれた今日の午後のムードでファンの心を満たす真のチーム」
ゴール裏Frenteと呼ばれるゾーンには熱狂的なサポーターが陣取る。ここからイムノが歌われ、スタジアム全体を歌声が包んでいく。しかし、移転した現在も、歌詞は変わらず、カルデロンの名が歌われている。
(Wanda MetropolitanoのFrenteに陣取るアトレティコサポーター)
「僕も理由は知らないけど、イムノにまだカルデロンの名が歌われているのは、FrenteのみんながまだMetropolitanoを家だとは思ってないからかもしれないね。
とても綺麗で素晴らしいスタジアムだけど、スタジアムの周囲にはカルデロンのように試合前を楽しむ場所もないしね。 カルデロンの周りにはバルがたくさんあって、試合の前の雰囲気はとても素晴らしかったよ。あの場所は特別さ。」 とフリアンさんは言う。
Wanda Metropolitanoは、マドリッドの中心からメトロに乗って約30分程度、東の郊外へ行ったところにある。さすが新設のスタジアムといったところだろうか、周囲は綺麗に整備され、工事の音もまだ聞こえている。
しかし、本当にスタジアム以外なにもない。駅を降りたらいきなりスタジアムが見えてくるが、確かに試合前にみなで結果を予想し盛り上がるようなバルも無い。
(駅を降りたところから見える新スタジアム。周囲は広い空き地になっている)
スタジアムを取り巻くように設置された遊歩道に行くと、何やらサポーターがみんな地面を見て写真を撮っている。何だろうと近寄ると、往年のアトレティコ選手を記したモニュメントがところせましと並んでいる。
(監督シメオネ)
(セレッソ大阪にも在籍したフォルラン)
(今も大人気のFトーレス)
やはり、フェルナンド・トーレスは現地でも大人気なのだろう。このトーレスのモニュメントと一緒に写真を撮る人が一番多かったように見えた。
中に入るとさすが新設のスタジアムと言うべきだろうか、全ての設備が新しく美しい。そして、欧州のスタジアムだからなのだろう、ピッチまでの距離が近く、とても見やすい。
試合前にはイムノが歌われるが、声の反響も良くスタジアム全体がまるでオーケストラの会場のように歌声が響き渡る。
(Metropolitanoの内部。スペインで大人気の闘牛場のように美しい円形のスタジアムである ) 2
017年9月27日、ここMetropolitanoでは初のヨーロッパの戦いが行われていた。
マドリードのロヒ・ブランコ(Rojiblancos、赤と白の意味。アトレティコのユニフォームが赤と白の縦縞のためこのニックネームがついた)が迎えたのは、 昨季イングランドの最も強いチームに返り咲いたthe Bluesことチェルシー(Chelsea FC)だったが、エースのアントワーヌ・グリエーズマンのPKで先手を取ったアトレティコはこの日、自慢の守備が機能することは無かった。
この2017年9月27日で、Metropolitanoで行われた試合は3試合目。 まだ、この地でアトレティコがゴールを許したことも、ましてや敗れたこともなかった。
サポーターからすると、愛すべきカルデロンを良き思いでとし、新しい地を自らの”家”と称するには、この地での溢れんばかりの歓喜と少しだけの美酒が必要なのだろう。
しかし、どんな常勝チームでも、いつか必ず負ける時が来る。 美酒を忘れないためには時々、少しばかりの苦みも必要と言わんばかりに、その時は突然やってくる。
誰しもが言う。
フットボールとは、”そうゆうもの”なのだから。
皮肉なことに、このスタジアムで許した最初の得点、その鍵を開けたのは、ロヒ・ブランコで幼少期を過ごしたスペイン代表アルバロ・モラタだった。
(60分 アトレティコのゴールをこじ開け、喜ぶ9番モラタと詰め寄るチェルシーの選手達)
この日、アトレティコは敗れた。 Metropolitanoでの最初の敗戦という肩書とともに。
Champions League決勝トーナメントの常連となったチームは、このヨーロッパの最も優れたチームを決める大会で、今期はまだ勝ち星がない(2017年9月27日終了時点)。
「アトレティコのサポーターを証明するカードに、何が書いてあるか知ってるかい? “ NUNCA DEJES DE CREER ”と書いてるんだよ。 そうだねぇ、英語に直すと、 “ Never Stop Believing ” (我々は、アトレティコを信じ続ける) かな。 僕らは、どんな状態であっても、アトレティコの“家族”なのさ」
こう思うのは、きっとフリアンさんだけではないのだろう。
いつか、イムノの歌詞が少し変わる時が来るのかもしれない。 その時が、この赤と白を愛する人達が、マンサナーレス川のほとりから、本当の意味でこの東の地へ移ってきた時なのだろう。
それは近い将来なのか、
それとも、遠い未来なのか。
私ほどの人間では、知る由もない。
次に”家”に招き入れるのは、独立に揺れるカタルーニャの巨人、FC Barcelona。
この家族の幸運を祈りつつ、また”引っ越し最中のお家”にお邪魔したいと思う。