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古都鎌倉で動き出した日本サッカー界の新たな息吹〜第3回 鎌倉インテルタウンミーティングイベントレポ〜

「鎌倉インテル、面白いんですよ。今度イベントがあるので来てください。」 ヴァンフォーレ甲府やロアッソ熊本などで活躍し、現在はサッカー指導者として活動中の宇留野純は、ある媒体でのインタビュー取材の合間に、筆者に向かってこう言った。話を聞くと、最近、神奈川県社会人リーグ3部に所属する鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)というチームに携わっているというのだ。 正直なところ、宇留野に教えてもらうまで、この鎌倉インテルという名前を全く知らなかった。だが、取材を通じて、宇留野の濃厚な人生を垣間見ていた筆者にとって、彼の「鎌倉インテル、面白いんですよ」という言葉は、決して嘘や偽りとは思えなかった。この時、筆者の頭の片隅に、鎌倉インテルの名前が刻まれた。

圖標segawa.taisuke1瀨川大輔 | 2018/10/29
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鎌倉インテルとは?


2018年10月19日。筆者は、宇留野の案内のもと、鎌倉インテル第3回タウンミーティングの会場である「NEKTON OFUNA」に到着し、すでに30名ほどの人たちが談笑をしている会場内に足を踏み入れた。

ほぼ同じタイミングで到着した宇留野をはじめとする何人かの方々と簡単に挨拶を交わして席に着くと、鎌倉インテル発起人の四方(よも)健太郎氏が登壇し、さっそく、タウンミーティングはスタートする。

この四方氏は、大手コンサルティングファームでキャリアを積み、海外勤務も長い、まさに優秀なグローバル人材なのだが、実は、この男の情熱の源は、学生の頃に初めて見たサッカーワールドカップフランス大会にあった。この大会でサッカーに魅了された四方氏は、東南アジアのサッカーの今を伝えるWEBサイトを立ち上げたり、アジアサッカーの未来の発展のために日本と各国のサッカー情報流通のハブとなり、その事例紹介や研究を行ってきた。

そんなサッカーに並々ならぬ情熱を持つ四方氏の説明によると、鎌倉インテルとは、「日本にインテルを作ろう」というスローガンのもと、徹頭徹尾国際化を意識したサッカークラブだという。サッカークラブをベースにして、ホームタウンである鎌倉に、国際的な付加価値を創出するために、国際教育、国際ビジネス、国際交流などを行なっていくことをビジョンとして掲げている。なるほど、確かに、サッカー王国ブラジルには、「SCインテルナシオナル」がある。カルチョの国イタリアには、「インテルナツィオナーレ・ミラノ」がある。ここ日本にも、そんなチームがあってもいいのではないか。しかも、それが、古都、鎌倉にある。それだけで、なんとも言えない魅力があるではないか。


鎌倉インテルの現状

その後、四方氏のユーモアを交えた軽快なトークに、参加者たちの意識は惹きつけられていく。鎌倉インテルの生い立ちや、奇跡的な出会いの連続、熱意に吸い寄せられるかのようにして集まって来たサッカー人材や、地域の仲間たちにより、チームは始動していく様子が語られ、多くの人が頷きながら真剣に耳を傾けた。

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中でも、筆者が最も驚いたのは、スタジアム建設までの流れが、決してただの夢もの語りではないことだった。松尾崇現鎌倉市長は、自らのホームページの中で、深沢地域にシンガポールの「Our Tampines Hub」をイメージした複合型商業施設と一体となったスタジアムを建設し、プロスポーツクラブを作ることを言及してる。そして、鎌倉インテルの発起人であるこの四方氏は、このスタジアム建設を行政に提案しながら、日々その可能性を模索している状況だ。

さらに驚くことに、発足したチームは、急速に成長している。県リーグ3部からのスタートだからと言って、侮る事なかれ。2018年1月の時点で、たったの3人の選手で始動したチームは、5月に迎えたリーグ開幕戦で見事に勝利すると、7月には鎌倉カップで優勝、8月にはシンガポール遠征を敢行するなど、着々と、実力も規模も拡大している。現在、鎌倉インテルが所属する神奈川県3部リーグには、99チームが加盟しているが、鎌倉インテルは、2部リーグに昇格するための条件である、4位以内を目指してリーグ戦を戦っている状況だ。

また、こうして大きな未来絵図を描きながらも、目の前の課題を一つづつクリアしていこうとしている鎌倉インテルに、強い関心を持った数多くの名もなき猛者たちは、加入を希望し問い合わせしてくるケースが増えてきているという。中には、元Jリーガーのような選手もいるという。こうした状況に、スタッフたちも嬉しい悲鳴を上げ始めている様子だ。


鎌倉インテルへの期待

この日のタウンミーティングには、四方氏や吉田GMを始めとするチームスタッフはもちろん、地域の協力者や、スポーツ業界の関係者などが集まった。現在は、知る人ぞ知るという状況だが、集まった人の顔ぶれを見ると、今後、少しづつ注目度が高まっていきそうな予感をさせるものだった。

中でも、この日ゲスト参加していた元日本代表で、現在も横浜FCで正ゴールキーパーとして活躍する南雄太選手は、

「どんなサッカークラブも、最初があります。このように0からクラブが出来上がっていく様子を目の当たりにすることができて、とても貴重な時間を過ごすことができた」

 と語る。

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自らの熱意によって、多くの人を巻き込みながら、短期間で0から1を生み出した。産声をあげて間もないながらも、明確なビジョンを持って未来へ歩んでいこうとする鎌倉インテルが、この先、どのような成長曲線を描くのか。大きな期待を持って見守っていきたい。

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採訪/文字/照片:Yasuyuki Segawa